ほんず内閣総理大臣

19
8月

けやぐ(友達)

あなたと初めて出会ったのは、ネットの中でしたね。

最初は
「すごく地元の歴史に詳しい人」
そんな印象でした。

それもそのはず、地元の新聞社のデスク(当時)なんてお仕事でしたもんね。

メールや掲示板でやり取りをしているうちに
「結構ご近所なんだね」
ということで、弘前の鍛治町で初めてお会いしましたね。

あれから何度飲んだことか。

あなたがガンと闘い、克服された「サバイバー」だってことは、すぐ教えていただきましたね。

毎年の「弘前さくら祭り」では、全国から「サバイバー」の方やそのご家族、難聴関係の方々(放射線治療で難聴になってしまったため)が集まってくれて、それはそれは賑やかに飲んだものです。

サバイバーの方が多いため、
「今年は○○さんが先日卒業されたけど、このきれいな桜、見てるかな~」
等と言いながら、あなたは空を見上げて乾杯する仕草をしていましたね。

夏から秋にかけては、何度かバーベキューパーティーもしましたね。
バンガローを借りて、みんなで大騒ぎ。
私なんか、朝起きたら顔中落書きだらけで、みんなに大笑いされたことも。

私が毎年やっていた「百日禁酒」(1月中旬~4月下旬まで禁酒)の前には、「飲み納め会」と称してみんなで「相馬ロマントピア」で泊りがけで飲みましたね。
みんなで食べ物や酒を持ち寄り、老若男女関係なく、夜更けまで雪見酒を楽しみました。

あなたは48歳になったとき、
「親父の歳を越えられて、なんだか感慨深い」
と話していました。
まだ両親が健在の私にはわからないことでしたが、あなたは48歳という年齢を、一つのターニングポイントだと捉えていたのでしょうか?

いつしかあなたは、私にとって兄貴的存在になっていました。

仕事や人間関係で悩んでいるときは、必ずといっていいほど電話をしていただき
「生きていれば色々あるのが普通。たっくなら、思った通りに行けば大丈夫!」
と、勇気付けていただきました。

今回の闘病で入院されたときも、体の具合が非常に悪いにもかかわらず、事ある毎に電話をしていただいて
「仕事できるってだけでも幸せなんだよ。今は気がつかないかも知れないけど、そう思える日がくるから。」
と、辞職さえも考えていたときに言っていただきましたね。

これからもずっとずっと、あなたと飲み、語らい、泣き、笑い、叱られ、励まされ・・・

これからもずっとずっと。

信じて疑っていませんでした。

今月7日、十和田のマイミク「サトちゃん。」のお宅でオフ会が開催されました。

あなたも参加の予定でした。

が、直前になって体調が悪いとの理由で参加を見送りました。

でも、オフ会は予定通り開かれ、その夜にはあなたと電話でお話をしましたね。

「今回は無理だったけど、福島のリレーフォーライフには絶対!」
そう力強く話していました。
みんなあなたの参加を信じていたと思います。

先週、私は職場で不思議な体験をしました。
誰もいるはずのないところに人影を2度ほど見ました。
「きっと気のせい」
そう思っていました。

そして今朝、職場の玄関で、突然腕時計のベルトが切れ、時計が落下しました。
時計はガラスも割れてしまいました。

tokei

冗談交じりに、今日はなにかあるのかも?
そう話していました。

夕方、仕事がようやく一段落し、携帯電話をチェックしたところ、あなたからの不在着信がありました。
すぐかけ直したのですが、何度かけても誰も出ることはありませんでした。

すると、弘前大学付属病院の知り合いから、事の次第を知らせるメールが届きました。

慌ててあなたのご自宅へ電話をすると、奥様が出て
「私がかけました」
と言っていただきました。

何がなんだかわからない。そんな状態に陥りました。

まだ仕事は残っていたのですが、同僚に事情を告げすぐ駆けつけました。

あなたのご自宅には、あなたがいました。

何も言ってくれないあなたでしたが、私にはいつもの、まぎれもない「あなた」に見えました。

いえ、実際は滲んでよく見えませんでしたが。

私は、言葉を発することさえできませんでした。

帰り際、ようやく一言だけ。

「よしさん、よぐけっぱった!」

あなたの「生」への姿勢、尊敬します。

うんと高い、きれいなところへ昇ってください。

あなたにはその資格があります。

「いつか来るその時が来ただけ。誰にでも来るんだからよ」

ニコニコしながらそう言ってるあなたの顔が見えます。

2010819

2 Responses to “けやぐ(友達)”

  1. 1
    kenbishi Says:

    よしさんの御冥福をお祈りいたします。

    人にはそれぞれ生を受けたときから
    その終わりを背負って生きています。
    残念ながらその長さは自分の希望通りに
    ならないのが通常です。
    (自ら生を放棄した者は別です)
    多くの方は生きている間に、
    自分以外の人と関わりを持ち、
    生きた証を残し、
    何らかの影響を未来に与えるはずです。

    よしさんは
    もう、証を残しています。

    残された皆さんの未来を見守ってくださるはずです。

  2. 2
    たっく Says:

    >kenbishiさん
    今日火葬です。
    まだまだ信じられない思いです。
    よしさんは、全国のガン患者やそのご家族を、ずっと応援していました。
    自分で闘病中でも、その姿勢は変わることがありませんでした。
    とてもすばらしい「兄」的存在でした。

    空を見上げればよしさんがいる。

    そう思えるように、早くなりたいです。

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