ほんず内閣総理大臣

03
6月

多謝

約14年前、オヤジが
「でかい犬がほしい」
と言った。

昔から大型犬が好きだったオヤジ。
これまでもシェパードを飼ったりしていた。

数年間犬を飼っていなかったので、そろそろほしいと。

近隣のブリーダーを探して、直接引き取りに行ったのが私。

まだようやく歩けるってくらい小さかったゴールデンレトリバー。

名前はラスベガスに住む友達からもらい、「ハンソン」と名づけた。

よく人になつくハンソン。
近所の人からも可愛がられていた。

オヤジは、それはもう可愛がって、毎日2回散歩に連れて行っていた。

私が実家に行くと、車に体当たりするほど勢いよく飛び出してきて喜んでいた。

オヤジやお袋にもとてもなついていたけど、なぜか私を一番慕ってくれていた。

今日、仕事から帰ると
「ハンソンがそろそろ・・・」
とお袋から電話。

夕飯の支度もそこそこに実家へ。

目に入ったのは瀕死のハンソン。

「ハンソン!」
と叫び頭をなでると、わずかに尻尾を動かした。

「朝から吐き出して、それから寝込んでしまって。」
と、真っ赤な目のオヤジ。

コップに水を入れて持ってきて、手で少しづつ口に運ぶとペロペロと舐めた。

最期の水を飲んだハンソンは、晴れ渡る空へ召された。

ありがとう。

ハンソン。

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